『レ・ミゼラブル』 生きるとは何か
DVDで「レ・ミゼラブル」を見たので何かを書いておこうと思います。
ヒュー・ジャックマンとラッセル・クロウの2012年の映画ですね。
今まで何度も映画化、舞台化されていますが私はそのどれも見たことがなく、ユゴーの原作も読んだことがありません。
レ・ミゼラブルという物語自体に触れるのも初めてなので、その辺も踏まえて書いてみたいと思います。
あらすじ
19世紀フランス。庶民は貧困に喘ぎ、一部の特権階級への反発感情が高まりつつある頃。
貧しさから仕方なくパンを盗んだジャン・バルジャン(ヒュー・ジャックマン)は19年の長きに渡る服役で過酷な重労働についていた。ようやく仮出獄となったバルジャンだが、たどり着いた教会で食事と寝床を提供されたにも関わらず、銀食器を盗んでしまう。
あえなく憲兵に捕まり、司祭のもとに引きずり出されるバルジャン。しかし司祭は
「この銀食器は私が彼にあげたものです。」
と彼を庇うのだった。
司祭の慈悲深い行動に感謝し、また自らの行動を深く恥じたバルジャンは、名を捨てて別人になって生き直すことを決意するのであった。
数年後、経営者として市長として人々に慕われるまでになったバルジャン。
しかしある日、かつて獄中でバルジャンを苦しめた冷徹な警部ジャベール (ラッセル・クロウ)が街に赴任して来るのだった…。
全編ミュージカルになっていてもうずっと歌っている感じです。
「民衆の歌」などは耳に残りますね。有名曲らしいので以前どこかで聞いてるかもしれません。
歌にのせて描かれるのは貧窮する市民の怒りと苦しみ、容赦ないジャベールの執念、叶わぬ恋など目まぐるしく展開する生々しい人間の感情です。
女手一つで娘のコゼットのため働くファンテーヌが職を失い、転がるようにどん底に落ちて歌う「夢やぶれて」は悲痛で見ていて辛くなりました。
この真っ逆さまな感じ、すごく怖かったです。
些細なきっかけで何もかも失ってしまって安全でもないところでただただ困窮するしかない恐ろしさ。
レ・ミゼラブルはジャン・バルジャンという、人として正しく生きようとする男の一代記ということが言えるのですが、貧困との戦いの話でもあるのかなあと。
その中でバルジャンの忍耐強さと類稀な精神力が輝くから、名作なのかなと思います。
あと、バルジャンとは対比的にあくどくてがめつい宿屋の夫婦が出てくるのですが、コミカルで非常にムカつく連中で私の好きなヘレナ・ボナム=カーターが女将役だったのが最高でした。
彼らの娘が健気でいい子なのでまたそこで辛くなりました(泣)
「人とは」「生きるとは」という普遍的な問いへの希望に満ちた回答のようなラストでは思わず涙してしまいました。
見終わった後で自分というものを色々反省するなりしましたし、この映画のおかげで感情が忙しかったです。
久々に見たいい映画でした。